AIとこころのリテラシー 第一章 ・ AIと心理的安全性 ― なぜ「話しやすい」と感じるのか

生成AIを使っていると、「なんとなく話しやすい」と感じる方もいるかもしれません。
こちらの話を途中で遮らず、感情的にならず、整理しながら返答してくれる。人によっては、「少し安心する」「気持ちが落ち着く」と感じることもあるでしょう。
これは、決して不自然なことではありません。
人は本来、「話を聞いてもらえること」に安心感を覚える生き物だからです。
特に現代は、
・忙しさ
・人間関係の疲れ
・情報量の多さ
・孤独感
・“ちゃんとしなければならない”という緊張
を抱えながら生活している方も少なくありません。
そのような中で、AIが
・否定せず
・落ち着いて
・一定のペースで
・継続的に応答してくれる
ことに、「心理的安全性」に近い感覚を持つことは、ある意味では自然な反応ともいえます。
また、世代によってもAIとの距離感は少し異なるかもしれません。
若い世代では、SNSやチャット文化の延長線上で、自然にAIへ相談する感覚を持つ方もいるでしょう。
働く世代では、仕事や家庭の疲れの中で、「少し頭を整理したい」「誰にも気を遣わずに話したい」という感覚からAIを使うこともあるかもしれません。
高齢の方にとっては、会話そのものが安心感につながる場合もあります。
もちろん、こうした使い方を一概に悪いものと考える必要はありません。
AIとの対話によって、
・考えが整理されたり
・気持ちが言葉になったり
・少し落ち着きを取り戻せたり
することも実際にあるからです。
ただ一方で、少し意識しておきたいこともあります。
AIとの対話は、とても滑らかです。疲れず、待っていてくれて、比較的こちらに合わせて応答してくれます。そのため、現実の人間関係よりも“居心地が良い”と感じることもあるかもしれません。
しかし、人は本来、
・相手との温度差
・誤解
・沈黙
・気遣い
・少しの摩擦
を含みながら、現実の関係を築いています。
AIは便利な存在ですが、「AIだけの空間」に長時間閉じこもり続けることと、「現実の生活の中で心を整えること」は、少し別のものなのかもしれません。
だからこそ、AIを活用しながらも、
・現実の生活
・人とのつながり
・身体感覚
・日常のリズム
とのバランスを意識することも、これからの時代には大切になっていくように感じます。
Photo:Alessandro Bianchi