旧知の先生たちから学ばせてもらう
「もの忘れ外来」での経験
食事したことは覚えているけども、何を食べたかを思い出せない。食事をしたこと自体を覚えていない。前者と後者は似ているようにみえて、加齢による単なる物忘れなのか、認知症なのかを分ける場合があります。これらの症状を見極めていくのが「もの忘れ外来」と呼ばれるところです。私が精神科医として歩んできたキャリアの一つに「もの忘れ外来」(「健康長寿医療センター」(東京都板橋区))での勤務があります。加齢による心身の機能の衰えをいたわり温かく接するだけでなく、長年生きてきた方々への敬意を払う。高齢の方々と接するときの当たり前の姿勢を身に付けた場であり、医師としても大切な通過点だったと思っております。
知見を共有する場「日本老年精神医学会」
高齢化社会が急速に進んでいく中で、認知症に対応するあり方も喫緊の問題となってきており、これに関わる医師たちが集って知見を共有する場として「日本老年精神医学会」があります。高齢者の認知症・うつ病などのメンタルヘルスについて真剣に討議される場で、私も末席に連なり学ばせもらっております。先日、私が九段下で営むクリニックのすぐ近くで「日本老年精神医学会」の研究大会が開かれ、そこには「健康長寿医療センター」からも元の同僚である医師や心理士などのスタッフもたくさん参加していました。私も仕事の合間を縫って参加し、懐かしい方々と再会することになりました。
旧知の医師たちとの懇談
学会での研究発表の座長を務めていた精神科部長の先生、同じ場で発表もされていた後輩にあたる女性の先生、そして同じ病院に附属する研究所の副所長を務める先生の3名が、学会終了後、そのままクリニックに来訪してくれる運びとなりました。久しぶりの再会に時を忘れてお菓子とコーヒーとで懇談を行う中で、私はかつての仲間の元気な活躍ぶりに刺激を受けることになりました。そして、今後、クリニックでの取り組みに役立つ多くのヒントや示唆も頂くことなり貴重なひと時にもなりました。旧き縁に感謝しつつ努めていきたいと思います。