2023.06.22
コラム
小さな会話がもたらすもの
九段下・神保町を選んで
クリニック開院の地を九段下、神保町に決めるまでの間、いろいろな街を訪れました。アクセスの良さなども考えなければなりませんが、その街を好きになれるかどうかも心に問いかけながら選びました。クリニックが入るビル前の靖国通りを、左に歩みゆけば北の丸公園に辿りつき、右に歩みゆけば古本屋街へと包まれてゆきます。わずかな距離で自然と文化に触れられるこの街をとても気に入っています。
開院手続きとはんこ
ここで開院するまでには諸々と書類上の手続きがあり、「はんこ」がよく求められました。そんなとき、手元にある自分の印鑑を眺めると、使い古されて傷みが目立ち始めていることに気づきました。これを機に新たに作り直そうと思い、付近のはんこ屋さんを探してある一軒を訪ねました。応じてくれたのは、私の母くらいの齢の女性で、物腰柔らかくこちらの要望を聞いて提案を出してくれました。
和やかな会話の行方
後日、はんこを受け取りに行ったときに、和やかな会話となりました。この街で長く仕事をされてきたこと、仕事に対する思いなども少し伺うことができました。もちろん、この小さな会話にストレスが介在する余地はなく、むしろ、こうした積み重ねが、他で得たストレスをわずかに緩和させもします。効率性や業務的なことも大切ですが、そこから外れたやり取りも人のこころには求められると思います。ちなみに、仕上がったはんこは、限られたスペースに柔らかな文字が彫られた素敵なものでした。