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2024.07.09
コラム

自然の「音」に癒された日

夏本番の兆しの中で

日々の暑さが増してきており、自宅からオフィス、オフィスから用談先、そして、オフィスから自宅、移動のたびにひと汗かいてしまう季節がやってきました。今日日、どこもかしこも冷房が備えられており、屋内に入れば涼にふれて一安心と思いきや、大勢が集う場所では皆にとって望ましい冷房の適温を見出すのは容易ではありません。もっと強め、もっと弱め、丁度良いなどなどコンセンサスを取るのは大変なようです。クリニックでも医師やスタッフにとって感じる適温が、暑い中で予約時間にあわせて来院されたばかりの患者さんにとって適温とは限らず、この辺の配慮に気を付けたいと思っております。

冷房必需の一方で

冷房は一定のリズムを刻んで冷たい風を運んでくれますし、夏場はこれがあってこそ快適な環境となって仕事が回ります。ただ、窓を開け放つことなく、日長一日、冷房のコンスタントで機械的なリズムに慣らされることで、何かを失っているのではないかともときに考えます。話は少し変わりますが、先日、東京では突然、強烈な雷雨に見舞われました。その日は週末でいつもよりのんびりとした雰囲気でしたが、遠方から聴こえ始めたと思った雷が、暇を置かずに近くでとどろき、あっという間に強烈な稲妻と雷鳴に変わって、さらには雷雨が押しかけてきました。

雷雨の音に包まれて

当初は自然現象の一つくらいに受け止めていたのですが、しばらくして自然が生み出すなんとも不規則な光や音に静かに耳を傾けてみようと思い立って、パソコンから手を離し、本を閉じてその現象に包まれてみました。そうしているうちに、ふと子供の頃、通学時に突然の雷雨に見舞われたこと、そのときの情景や情感などが思い出されて、外の激しい音とは対照的にこころが妙に鎮まりゆく感じを覚えました。言葉であらわすのは難しいですが、自然が生み出す雷雨といった強い音の中にも、いつしかリラックスをさせてくれるものを見出すことができたのは良い日となりました。余談ですが、禅語に「聴雨」という言葉があり、お茶席の掛け軸などで使われたりもしますが、文字通り雨を聴くことで何かを感じる大切な時の刻みとなったと思っています。冷房によってコンスタントに快適な環境を与えられながらも、どこか自然の不規則な音にも癒されるような感性を保てるようにしていたいと思った次第です。

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