2026.02.16
デジタル と こころの調和

AIの時代 と こころの調和     第二章 ・ AIは得意と苦手のあいだに橋を架けるのを手伝う

「別世界」だと思ったときが、ブリッジの出番

苦手分野に向き合うとき、多くの人は真正面から取り組んでいくことを目指します。けれども、苦手で複雑なものほど、次第に苦しくなりがちですから、別のアプローチもあると思います。
それは、“接続ブリッジ(橋)をかける”という考え方となります。苦手と得意は、まったく別物に見えることがあります。むしろ「世界が違う」と感じるほど、距離があるように思えます。しかし実際には、自分が得意とすることと苦手と感じることのあいだに、「構造」「ルール」「流れ」「判断」など、どこか共通する骨格が隠れていることもあります。ここで言いたいのは、自分の得意とする分野と、苦手に思う分野の共通をAIを使って見つけてしまおうというアプローチです。

知的な型を「移植」する

たとえば、文系の学びを積み上げてきたけど、技術的な領域に関心が向かないという相談があります。仕事はきちんとできている。けれど、求められる領域が“理系的”に見えた瞬間、興味が切れてしまう。
このとき大切なのは、「自分には難しい」と思い込んでしまうことではなく、これまで培ってきた知的な型を、別の領域へ適用できないかと考えることです。
会社や組織の世界であれば、「ルール」「例外」「権限」「利害調整」「合意形成」といった視点があります。実はそれらは、システム設計にも通じるところがあります。技術という言葉が前に出ると難しく見えるだけで、骨格は「設計」と「運用」の世界でもあるといえるでしょう。
苦手は、往々にして“入口が遠い”だけで、世界そのものが完全に別というわけではありません。橋が一本かかるだけで、景色は変わり始めると思います。

好きな世界を“俯瞰”してみる

興味関心は、気合で生むものではありません。むしろ、自然に浸透していくものだと思います(そしてそちらの方が、こころへの負荷は軽くなります)。
ここで一つ、身近な例を挟んでみると、たとえば車が好きな方は多いと思います。車は今や、機械だけでなく制御やセンサー、ソフトウェア、安全設計など、多層のシステムが重なって成り立っています。好きな世界を少し俯瞰してみると、そこには「構造」があります。部品同士の関係、全体の流れ、一部が故障したときのイレギュラーな動きなど。
この構造を俯瞰することは、仕事上の別のシステムにもつながっていくことがあると思います。
ポイントは、苦手分野へいきなり飛び込むのではなく、得意や好きの側から少しずつ入っていくことかと思います。最初から全部分かろうとしないほうが良いでしょうし、入口が一つ見えれば、理解はそこから増殖していくのだと思います(適度な休息は求められます)。
人間相手だと気後れしてしまう質問でも、AI相手なら落ち着いて言葉にしやすいと思います。曖昧なままでも、「まずは整理」から始められるので、AIはこの「入口づくり」にとても向いていると思います。

                                          Photo:Amy Torbenson

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