2026.02.16
デジタル と こころの調和

AIの時代 と こころの調和     第一章 ・ 苦手には「入口」を探すアプローチ

苦手の正体は、入口がない感覚

生活をしている中で、「どうしても苦手な分野」に出会うことは起きてしまいます。努力しても頭に入らない。どこから手をつければいいか分からない。考えただけで気が重くなり、心身の余裕が削られていく——そんな経験は決して珍しいものではありません。
けれど、診療の現場でお話を伺っていると、苦手の背景には本人が思い込んでいる能力だけでは説明できないものがあると感じることがあります。それは、言い換えれば苦手と感じるものへの“入口がつかめない”という感覚ともいえるでしょう。
入口がない世界は、ただ遠いだけではなく、どこか不安を伴います。そして不安が強いほど、人は焦り、焦るほど理解は遠のいていく。苦手が苦手を呼ぶような循環が生まれやすくなります。

AIの時代がもたらしてくれるもの : アプローチのために「入口づくり」

ところでAIの活用が日常風景となり、ChatGPTなどの生成AIも随分と周りでは使われてきています。もちろんAIは万能ではありませんし、これから使う側のあり方も多々求められてくるかとは思います。ただ、現状を見るかぎり、このAIとの距離感を上手にとりながら使うことで、苦手分野への入口を一緒に探す“相棒”になり得るとも考えています。
今回お話ししたいのは、「AIを全面的に肯定する」でも「否定する」でもなく、こころを安定させるために知性をどう使うか、という視点です。答えを急いで取りに行くのではなく、自分の頭の中に「理解の地図」を拡げていく。その作業を、AIが静かに手伝える場面があります。

                                          Photo:Amy Torbenson

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