2025.12.29
認知行動療法 と こころの調和

認知行動療法 と こころの調和―― 第三章 不安を悪者にしない・2

・すべてを背負い込まなくてよい

そしてもう一つ、とても大事な点があります。
世の中には、私たちが背負わなくてもよい不安も、多く流れています。
ネットニュース、SNS、コメント欄…。他人の怒りや悲観、強い言葉が一日中流れてくる環境の中では、本来は自分とは関係のない不安まで抱え込んでしまうことがあります。
「自分の人生に直接関係がある不安」と、「いったん距離を置いてもよい不安」を分けること。
前者については、できる範囲で備えたり、相談したりする。後者については、あえて見ない・触れない時間をつくる。情報を選ぶこともまた、不安との付き合い方の一つだと思います。

 
不安は、本来は私たちを守るために働いている感情です。
それをすべて悪者として退治しようとするのではなく、「ここまでは不安に耳を傾ける」「ここから先は、不安から少し離れてみる」と、自分なりの線引きをつくっていく。
当院としては、その線引きを一緒に考えること、不安を抱えながらでも「自分の軸」を少しずつ回復していけるようお手伝いすることを、大切にしたいと心がけています。

 
不安はゼロにならなくても大丈夫です。
不安を抱えつつも、「それでも、今日はここまでできた」「この状況でも、こうやって生きていける」と感じられる瞬間を増やしていくこと。その積み重ねこそが、こころの調和に向かう道の一つではないかと日々静かに考えています。

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